この記事は下記のような事に悩んでいる方にオススメです!
・農業に興味がある方
・農業を始めようと考えている方
農業を始めようと思っている方には、年間150万円を3年間補助金として貰える、新規就農者育成総合対策のうち、「経営開始資金」という制度があります。
この記事では、その制度の概要や対象となる方、気を付けなければならない点をご紹介したいと思います。
新規就農者育成総合対策のうち就農準備資金・経営開始資金
まず、新規就農者育成総合対策には、大きく分けて2つの補助制度があります。
就農準備資金
都道府県が認める道府県の農業大学校等の研修機関等で研修を受ける就農希望者に、最長2年間、月12.5万円(年間最大150万円)を交付します
交付対象者の主な要件(すべて満たす必要があります)
- 就農予定時の年齢が、原則49歳以下であり、次世代を担う農業者となることについての強い意欲を有していること
- 独立・自営就農または雇用就農を目指すこと
親元就農を目指す者については、就農後5年以内に経営を継承する、農業法人の共同経営者になる又は独立・自営就農すること- 都道府県等が認めた研修機関等で概ね1年以上(1年につき概ね1,200時間以上)研修すること
- 常勤の雇用契約を締結していないこと
- 生活保護、求職者支援制度など、生活費を支給する国の他の事業と重複受給でないこと
- 原則として前年の世帯(親子及び配偶者の範囲)所得が600万円以下であること
- 研修中の怪我等に備えて傷害保険に加入すること
(注)以下の場合は返還の対象となります
- 適切な研修を行っていない場合
交付主体が、研修計画に則して必要な技能を習得することができないと判断した場合- 研修終了後
1年以内に原則49歳以下で独立・自営就農又は雇用就農しなかった場合
就農準備資金の交付を受けた研修の終了後、更に研修を続ける場合(原則4年以内で就農準備資金の対象となる研修に準ずるもの)は、その研修終了後- 交付期間の1.5倍(最低2年間)の期間、独立・自営就農又は雇用就農を継続しない場合
- 親元就農者について、就農後5年以内に経営継承しなかった場合、農業法人の共同経営者にならなかった場合又は独立・自営就農しなかった場合
- 独立・自営就農者又は親元就農者で5年以内に独立・自営就農する者について、就農後5年以内に認定農業者又は認定新規就農者にならなかった場合
(注1)交付対象者の特例
国内での2年の研修に加え、将来の農業経営ビジョンとの関連性が認められて、海外研修を行う場合は交付期間を1年延長する交付主体
都道府県、市町村、青年農業者等育成センター、全国農業委員会ネットワーク機構
農林水産省HP より引用
要約すると、知識や経験がない方は基本的には農家として経営が出来ると認められません。
農業を始める為には、作物の知識・農薬や肥料の知識・栽培技術・農業経営などを習得する必要があります。
その為には、交付対象者の4の項目にもありますが、会社員など、常勤の雇用契約をしている場合は対象にならない為、
仕事を退職して研修機関などで1年以上研修を受ける事になります。
その間の、生活資金を補助するための制度となっています。
経営開始資金
新規就農される方に、農業経営を始めてから経営が安定するまでの最大3年間、月12.5万円(年間150万円)を定額交付します
交付対象者の主な要件(すべて満たす必要があります)
- 独立・自営就農時の年齢が、原則49歳以下の認定新規就農者であり、次世代を担う農業者となることについての強い意欲を有していること
- 独立・自営就農であること
自ら作成した青年等就農計画に即して主体的に農業経営を行っている状態を指し、具体的には、以下の要件を満たすものとする
農地の所有権又は利用権を交付対象者が有している
主要な機械・施設を交付対象者が所有又は借りている
生産物や生産資材等を交付対象者の名義で出荷取引する
交付対象者の農産物等の売上げや経費の支出などの経営収支を交付対象者の名義の通帳及び帳簿で管理する
また、親元に就農する場合であっても、上記の要件を満たせば、親の経営から独立した部門経営を行う場合や、親の経営に従事してから5年以内に継承する場合は、その時点から対象とする
(親元に就農する場合は、新規参入者と同等の経営リスク(新規作目の導入や経営の多角化等)を負い経営発展に向けた取組を行うと市町村長に認められること)- 青年等就農計画等※が以下の基準に適合していること
独立・自営就農5年後には農業(自らの生産に係る農産物を使った関連事業 <農家民宿、加工品製造、直接販売、農家レストラン等>も含む)で生計が成り立つ実現可能な計画である
※農業経営基盤強化促進法第14条の4第1項に規定する青年等就農計画に農業次世代人材投資資金申請追加書類を添付したもの- 人・農地プランへの位置づけ等
市町村が作成する 人・農地プラン (東日本大震災の津波被災市町村が作成する経営再開マスタープランを含む)に中心となる経営体として位置付けられていること(もしくは位置付けられることが確実であること)
または、農地中間管理機構から農地を借り受けていること- 生活保護等、生活費を支給する国の他の事業と重複受給していないこと
また雇用就農資金による助成金の交付又は経営継承・発展支援事業による補助金の交付を現に受けておらず、かつ過去にうけていないこと- 原則として前年の世帯(親子及び配偶者の範囲)所得が600万円以下であること
(注1)交付対象の特例
- 夫婦ともに就農する場合(家族経営協定、経営資源の共有などにより共同経営者であることが明確である場合)は、夫婦合わせて1.5人分を交付する
- 複数の新規就農者が法人を新設して共同経営を行う場合は、新規就農者それぞれに最大150万円を交付する
(注2)以下の場合は交付停止となります
- 原則として前年の世帯所得が600万円(本事業資金含む)を超えた場合
- 青年等就農計画等を実行するために必要な作業を怠るなど、適切な就農を行っていないと市町村が判断した場合
(注3)以下の場合は返還の対象となります
- 交付期間終了後、交付期間と同期間以上、営農を継続をしなかった場合
交付主体
市町村
農林水産省HP より引用
こちらが今回ご説明する制度となります。
まず、対象となるのは、就農する各市町村(これは現住所地でなくても可能です)から【認定新規就農者】の認定を受けた方が対象となります。
そして、対象者の各要件について解説します。
①独立・自営就農時の年齢が、原則49歳以下の認定新規就農者であり、次世代を担う農業者となることについての強い意欲を有していること
原則、就農時の年齢が49歳以下である必要があります。
認定新規就農者とは、各市町村により認定を受けた就農者の事です。
具体的には、農業技術を習得しており、かつ下記②・③・④項目のような要件をクリアした計画を作成する事で認定を受けられます。
②独立・自営就農であること、③青年等就農計画等が以下の基準に適合していること
②独立・自営就農であること
・農地の所有又は利用権を有している
・トラクターや動力噴霧器などを所有又は借りている
・生産物や生産資材等を本人名義で出荷取引する
・農産物等の売上げや経費の支出などの経営収支を交付対象者の名義の通帳及び帳簿で管理する
③青年等就農計画等が以下の基準に適合していること
就農後5年後には農業で生計が成り立つ実現可能な営農目標を作成し、その市町村から認可が下りる事で初めて認定新規就農者となる事が出来ます。
④人・農地プランへの位置づけ等
人・農地プランとは?
高齢化や農業の担い手不足が心配される中、地域や集落の話合いに基づき、5年後、10年後までに地域内の農業において中心的な役割を果たすことが見込まれる農業者(中心経営体)、当該地域における農業の在り方などを明確化することです。
要約すると、その地域の農業者同士で協力し、農地の集約化を行うなど、持続可能な農業を行っていくという事です。
経営開始資金はしっかり準備すれば誰でも受けられる!
一番多い一般的な流れとしては、
農業法人などに就職→数年間研修を受けた後、新規就農
だと思います。
親元就農などの場合は今回は省略させていただきます。
注意! 兼業などでやっている方で、開業届を提出すると貰えない!?
めったにないケースだと思いますが、身内から口約束で農地を借り受けたり、栽培を代行するようなケースの場合です。
収益が上がりそうだからという事で、年間55万円~最大65万円の所得控除を受けられる「青色申告特別控除」を利用したいと考える方もいるかもしれません。
青色申告特別控除は開業届を出している方でないと利用できません。
例えば、単純に本業の休日を利用して農作業を行い、50万円の利益が出たとします。
すると50万円の利益に対して約20%の税金がかかり、手残りは40万円となりますよね。
しかし、青色申告特別控除を利用した場合はこの50万円の利益に対して55万円の控除ができますので、利益の50万円を相殺し、支払う税金は0円となります。
このように、青色申告特別控除には大きなメリットがあります。
しかし、ここに大きな落とし穴があります。
開業届を提出していると、農業経営をすでに始めている事になります
ここで、もうピンときた方もいるかと思いますが、先ほどの3年間各150万円補助が受けられる、「経営開始資金」は、新しく農業経営を始める方に対し、設備投資などの補助を目的としています。
そのため、すでに開業届を提出し、青色申告をしている場合は、この対象には該当しなくなります。
詳しくは、各市町村にて確認していただくことが確実ですが、私の市では、
開業届の提出の有無は関わらず、
①農地の利用権取得・借受
②農業機械・施設の購入やレンタル
③自分名義での農産物の出荷
上記いずれかの、一番早いタイミングを農業経営開始とみなすとの回答を頂きました。
その為、そこから3年間のカウントがスタートしている事になります。
先ほどの例であれば、青色申告にて経費や売上を確定申告しているため、税金の控除は受けられますが、
将来的に、本業を退職し、農業で独立したいと考えた時に、経営開始資金の対象とはならなくなります。
3年間×150万円=450万円の補助が受けられないというのは、営農開始時の不安定な初期の状況においては非常に大きなマイナスとなりますよね。
まとめ
今回は、新規就農者育成総合対策のうち主に、経営開始資金について解説しました。
兼業で農業をされている方はこの点には注意が必要ですので、よく理解したうえで対策をされるようにしていただきたいと思います。
ここまでご覧いただきありがとうございました。
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